姿勢のゆがみ!

「姿勢がゆがんでいる、何が悪いのだろう?」
「姿勢のゆがみが原因で痛みやしびれが生じているのではないか?」
と気にしておられる方も多いことでしょう。
姿勢のゆがみの原因と改善方法についてご説明いたします。

1 姿勢がゆがむのは何故?

脊柱や骨盤などの骨格の異常が「姿勢のゆがみ」の原因とされることが多いのですが、骨格の異常は「姿勢のゆがみ」の真の原因ではありません。
例えば、脊柱は、下図左に示すように単に椎骨を積み重ねた構造をしており、椎骨間の緩衝材であるヘルニアや椎骨間を結ぶ靭帯等が付随しているだけで、脊柱自体には自らが変形したり姿勢をゆがめたりする機能も力もありません。
それは疑いようもない物理的な事実です。
筋肉の力によって身体を自在に動かすことができるように、姿勢を変化させ得るのも基本的に筋肉しかないのです。
脊柱は、下図右に示すように多くの強力な筋肉によって保持されています。
これらの筋肉の一部が強く収縮することによって脊柱が不均衡に牽引され、その結果として「姿勢のゆがみ」が生じるのです。
そして、この筋肉の異常な収縮は、筋肉内に生じた「小さなしこり(トリガーポイント)」によって引き起こされます
脊柱だけではなく、猫背や骨盤のゆがみなども全て同じ原理です。
姿勢をゆがめる根本的な原因が筋肉であると認識することは、姿勢の矯正を考える上で極めて大切なことです。

2 姿勢のゆがみが痛みやしびれの原因になるのか?

姿勢のゆがみ自体が、身体の痛みやしびれの原因となることはありません。
例えば、「骨盤のゆがみが腰痛の原因である。」と説明された女性も少なくないと思いますが、次の研究結果が示すように、骨盤のゆがみと腰痛には全く関連がないことが実証されています。

研究結果(Levangie PKSpine1999年)

測定対象:健常者138名と発症後1年以内の腰痛患者144名
測定姿勢:立位、座位
測定要領:左右の骨盤の基準点間の距離・傾き及び下肢長の差を厳密に測定
実証結果:骨盤の非対称性と腰痛とは、どのような臨床的意義においても関連はない
では、何が「痛みやしびれ」を起こしているのでしょうか?
姿勢のゆがみがそうであるように、「痛みやしびれ」は筋肉内に生じた「小さなしこり(トリガーポイント)」によって引き起こされることが証明されており、世界的にはこれ が常識となっています。

1983年、米国のケネディ大統領とジョンソン大統領の主治医を勤めた痛み治療の世界的権威であるトラベル博士は、「トリガーポイント」による「筋筋膜性疼痛」が身体的な痛みの95%を占め、残りの5%は「骨折」「ガン」「感染症」などによる痛みであることを突き止め、『トリガーポイント・マニュアル(通称)』を発表しています。

すなわちは、筋肉内に生じた「小さなしこり(トリガーポイント)」が、骨格を強く牽引して姿勢をゆがめ、同時に身体の各部に痛みやしびれを起こしているということです。

逆に、トリガーポイントが起こす痛みやしびれを放置しておくと、トリガーポイント内包筋を収縮させることによって姿勢をゆがめていく原因ともなります。

3 姿勢のゆがみの真実と矯正

〇 姿勢のゆがみの真の原因は筋肉内に生じた「小さなしこり(トリガーポイント)」にあるわけですから、姿勢のゆがみを矯正するためには、まず筋肉内のトリガーポイントを取り除き筋肉を正常な状態に戻すことが必要になります。
骨格を保持している筋肉の異常な収縮を取り除けば、骨格あるいは関節は時間とともにその人にとって無理のない自然な状態を取り戻して姿勢も矯正されていきます。
運動・柔軟体操・ストレッチ・筋肉増強などは、そのあとの話です。
また、姿勢のゆがみを無理に矯正しようとして骨格を押したり引っ張ったりするのは、原因となっている筋肉に不必要な負担をかけることになり根本的な治療にはなりませんし、時には症状を悪化させることさえあります。

〇 生活習慣によって姿勢がゆがむとよく言われますが、これも厳密には正しい表現ではありません。
生活習慣によって特定の筋肉・筋膜に負荷がかかり、トリガーポイントが形成されることによって姿勢がゆがめられ、同時に痛みやしびれが生じるというのが真実です。
その観点から筋肉にトリガーポイントを生じさせないように生活習慣を改善するのは大事なことですが、それと同時に異常収縮している筋肉を治療しなければ生活習慣の改善だけでは姿勢のゆがみを根本的に矯正することにはならないのです。 〇 また、一つ難しい問題があります。
筋肉の異常な収縮によって姿勢がゆがめられるのですが、姿勢がゆがんだ状態を長く放置していると、身体の適応能力が働いてゆがんだ姿勢に全身の筋肉・筋膜を再適合させることになります。
この段階になるまで放置しておくと、異常収縮をした筋肉のトリガーポイントを取り除き正常な状態にしても、本来の全身のバランスを取り戻すためには時間を要することになります。
姿勢のゆがみ、痛み、しびれに悩みを持っておられる方は、早めにこれらの原因となっているトリガーポイントを特定・解消し、セルフケアーを覚えて改善していくように心掛けて頂きたいと思います。

4 トリガーポイントが起こす姿勢のゆがみの例

〇 ストレートネック(胸鎖乳突筋)
首の前面にある胸鎖乳突筋にトリガーポイントに生じて強い収縮を起こすと、頸骨が斜め前方にけん引され、下図左に示すように姿勢をゆがめてストレートネックと診断される状態になります。
それと同時に、胸鎖乳突筋は下図右に赤色で示す範囲の一部または全部に痛みやしびれを起しますし、めまいや耳鳴りなどの様々な不定愁訴を起こすことが確認されています。
胸鎖乳突筋のトリガーポイントを取り除けば、ストレートネックが改善されるとともに痛みやしびれ、不定愁訴から解放されることになります。
〇 脊椎・骨盤・胸郭のゆがみ(腰方形筋)
腰の側面にある腰方形筋にトリガーポイントが生じて強い収縮を起こすと、脊椎・骨盤・胸郭がけん引され、下図左に示すように姿勢をゆがめることになります。
それと同時に、腰方形筋は下図右に赤色で示す範囲の一部または全部に痛みやしびれを起こし、時には激痛を伴うぎっくり腰の原因となることが確認されています。
腰方形筋のトリガーポイントを取り除けば、姿勢のゆがみが改善されるとともに痛みやしびれから解放されることになります。

上記は一例に過ぎず、基本的には全ての姿勢のゆがみについて同様のことが言えます。

※ 姿勢のゆがみとともに、自らの痛みやしびれに似た症状はないか「改善できる症状」を確認してみて下さい。
当院には、トリガーポイントを極めて効果的に解消するとともに、連鎖を解消し全身を整えることのできる画期的な治療法「筋筋膜反射リリース」があります。
姿勢のゆがみ、痛みやしびれは早めに改善して、健康な身体を維持しましょう。

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