線維筋痛症は改善できる。
このブログをご覧の皆様は、線維筋痛症についての基礎的な知識はお持ちのことと思いますので線維筋痛症自体の説明は省略します。
線維筋痛症は原因不明の難病とされていますが、医学的な見解とは別にトリガーポイントが起こす症状と治療に努めてきた経験から申し上げると、線維筋痛症の特徴や症状はトリガーポイントが起こす筋筋膜性疼痛の特徴と症状に酷似しています。
また、多くの全身性の疼痛患者を治療してきた臨床経験からも「線維筋痛症は、トリガーポイントがファシアを介した全身的に広がり、筋筋膜性疼痛が重篤化したもの」と考えられます。
※ ファシア :「筋肉、骨、腱、靭帯、内臓、神経、血管などのさまざまな組織を包み全身を隈なく埋め尽くす結合組織の総称」
線維筋痛症の特殊と症状は、全てトリガーポイントが起こす筋筋膜性疼痛によって説明することができます。
以下に、トリガーポイントが特徴や症状の一部を列挙しますが、線維筋痛症と診断されている皆さんの特徴や症状等と合致する点が多い筈です。
1 トリガーポイントの起こす筋筋膜性疼痛の特徴
〇 臨床経験から確実に言えることですが、トリガーポイントは外的内的条件によっては連鎖して全身的に広がる特徴を持っています。
トリガーポイントがある程度広がった状態では、全身に数十カ所の圧痛点が見出されるのは普通であり、下図の線維筋痛症分類基準の圧痛点全てに圧痛を生じることも決して珍しいことではありません。
〇 身体の広範な部位に関連痛を言われる主として慢性的な疼痛を引き起こします。また、しびれやこわばりを起こします。
〇 リュウマチ疾患に見られる自己免疫の異常や炎症はみられません。
〇 慢性的な痛み等により日常生活における動作や生活の質が大きく損なわれますが、器質的な組織破壊などをきたすことはありません。
〇 患者は女性が多く、特に重篤な患者は女性に多い。
2 トリガーポイントが起こす筋筋膜性疼痛の症状
〇 主症状は慢性疼痛(自発痛、動作痛)で、疼痛部位は頭部、上半身、下半身、上・下肢、体軸部など全身に及びます。
〇 トリガーポイントの感度の変化に伴って、疼痛の部位や強度は日によってあるいは外的環境要因によっても変化します。
〇 トリガーポイントの部位や複合作用によって、次の多様な症状を引き起こします。
• 痛み・凝り(頭痛、歯痛、腰痛、背部痛、胸部痛、腹部痛、四肢痛)
• しびれ感(ジンジンする、ピリピリするなど)
• 感覚の麻痺、感覚の異常(味覚、聴覚、触覚、視覚など)
• 痛覚過敏
• 平衡障害、めまい、耳鳴り
• 足腰の冷え、手先足先の冷え、発汗異常(汗をかきやすい、かきにくい)
• 筋力低下、関節の可動域制限
• 皮膚の異常(湿疹、シミ、ツッパリ、脱毛、ピーンと張った皮膚)
• 爪の異常(割れやすい、硬化、肥厚)
• 静脈瘤、むくみ
• 不定愁訴(自律神経失調症状)
• 全身性の疲労、眼精疲労、睡眠障害
• 気分の落ち込み、感情の乱れ
上記の特徴や症状を見てくると、線維筋痛症の特徴と症状は全てトリガーポイントが引き起こすことが可能であることが判ります。
そして、実際にトリガーポイント・セラピーによって症状を改善し、患者さんに喜んで頂いています。
ただし、これまでに私が治療してきたのは線維筋痛症の重症度ステージⅠ及びⅡの患者さんのみであり、ステージⅢ以上の患者さんにどの程度効果的な治療が行えるかは全く未知数です。
また、重篤な患者さんほど多くの治療回数も必要としており、症状が軽い段階での治療が推奨されます。
線維筋痛症であっても、比較的軽度の症状であれば改善が十分期待できますので、是非ご相談下さい。
参考:線維筋痛症の重症度(ステージ)分類試案