線維筋痛症が改善できる理由
線維筋痛症は、身体の広範な部位に疼痛をきたす慢性疾患であり原因不明の難病とされています。(線維筋痛症の特徴、症状、診断方法などは、後述の「線維筋痛症の特徴等」をご覧下さい。)
しかし、多くの全身性の疼痛患者にトリガーポイント治療をしてきた臨床経験から申し上げると、線維筋痛症はトリガーポイントが起こす筋筋膜性疼痛と特徴や症状が酷似しており、線維筋痛症はトリガーポイントが全身的に広がり筋筋膜性疼痛が重篤化したものと考えられます。
※トリガーポイントが起こす筋筋膜性疼痛は、極めて一般的であり原因不明でも難病でもありません。
米国のケネディ大統領とジョンソン大統領の主治医を勤めた痛み治療の世界的権威であるトラベル博士は、「トリガーポイント」による「筋筋膜性疼痛」が身体的な痛みの95%を占めることを突き止め、『トリガーポイント・マニュアル(通称)』を発表しています。
詳しくは「痛み・しびれの正体」をご確認下さい。

線維筋痛症の特徴や症状は、トリガーポイントが起こす筋筋膜性疼痛によって全て説明することができます。以下に、トリガーポイントの特徴や症状の一部を列挙しますが、線維筋痛症と診断されている皆さんの特徴や症状等と合致する点が多い筈です。後述の「線維筋痛症の特徴等」と比較してみてください。
1 トリガーポイントの起こす筋筋膜性疼痛の特徴
① 臨床経験から確実に言えることですが、トリガーポイントは外的内的条件の悪化によっては連鎖して全身的に広がる特徴を持っています。
ある程度トリガーポイントが拡散した状態では、全身に数十カ所の圧痛点が見出されるのは普通であり、線維筋痛症分類基準の圧痛点全てに圧痛を生じることも決して珍しいことではありません。
② 身体の広範な部位に関連痛と言われる主として慢性的な疼痛を引き起こします。また、しびれやこわばりを起こします。
③ リュウマチ疾患に見られる自己免疫の異常や炎症はみられません。
④ 慢性的な痛み等により日常生活における動作や生活の質が大きく損なわれますが、器質的な組織破壊などをきたすことはありません。
⑤ 患者は女性が多く、特に重篤な患者は女性に多く見られます。
⑥ 血液検査や画像検査による異常は認められません。
2 トリガーポイントが起こす筋筋膜性疼痛の症状
① 主症状は慢性疼痛(自発痛、動作痛)であり、疼痛部位は頭部、上半身、下半身、上・下肢、体軸部など全身に及びます。
② トリガーポイントの感度の変化に伴って、疼痛の部位や強度は日によってあるいは天候などの外的環境要因によっても変化します。
③ トリガーポイントの部位や複合作用によって、次の多様な症状を引き起こします。
• 痛み・凝り(頭痛、歯痛、腰痛、背部痛、胸部痛、腹部痛、四肢痛)
• しびれ感(ジンジンする、ピリピリするなど)
• 感覚の麻痺、感覚の異常(味覚、聴覚、触覚、視覚など)
• 痛覚過敏
• 平衡障害、めまい、耳鳴り
• 足腰の冷え、手先足先の冷え、発汗異常(汗をかきやすい、かきにくい)
• 筋力低下、関節の可動域制限
• 皮膚の異常(湿疹、シミ、ツッパリ、脱毛、ピーンと張った皮膚)
• 爪の異常(割れやすい、硬化、肥厚)
• 静脈瘤、むくみ
• 全身性の疲労、眼精疲労、睡眠障害
• 気分の落ち込み、感情の乱れ
上記の特徴や症状を見てくると、線維筋痛症の特徴と症状は全てトリガーポイントが引き起こすことが可能であることが判ります。
トリガーポイントが原因だとすれば、それは決して難病ではありません。治療法はあるのです。
そして、実際にトリガーポイント・セラピーによって、症状を改善し患者さんに喜んで頂いています。
ただし、これまでに当院で主に治療してきたのは主に線維筋痛症の重症度ステージⅠ及びⅡの患者さんであり、ステージⅢ以上の患者さんにどの程度効果的な治療が行えるかは未知数です。
線維筋痛症と診断されても、実際には複数のトリガーポイントが起こす重層化・重篤化した筋筋膜性疼痛の可能性が高く、比較的軽度の症状であれば改善が十分期待できます。
治療マニュアルの全てをお見せして、納得されるまでご説明させて頂きます。納得できなければ施術を受けて頂く必要は一切ありません。
また、神経や骨格を強く圧迫することのない安心安全な治療法ですので、是非一度お訪ね下さい。
痛みやしびれのない日常が目の前に見えてきます!
線維筋痛症の特徴等
1 線維筋痛症の特徴
線維筋痛症は身体の広範な部位に疼痛をきたす原因不明の慢性疾患です。リウマチ性疾患に分類されていますが、自己免疫の異常や炎症はみられず、機能的な(機能の働きに異常を生じる)リウマチ性疾患といえます。
慢性的な痛みにより、日常生活における動作や生活の質が大きく損なわれますが、器質的な組織破壊などをきたすことはなく、生命が脅かされることもありません。
線維筋痛症の原因はいまだ不明です。
日本の人口の2.1%(約212万人)の患者さんがいるとされ、男女比は1:4.8と女性に多く、推定発症年齢は約44歳、患者平均年齢は約52歳と言われています。
線維筋痛症は小児や高齢者にも発症しますが、成人の女性に多い病気といえます。
2 線維筋痛症の症状
線維筋痛症の主症状は慢性疼痛で、疼痛部位は右・左半身、上・下肢、体軸部など全身の広範囲に及びます。筋肉や関節、軟部組織などの自発痛が中心ですが、痛みの部位と程度は日によって変化するだけでなく、日内変動も認められます。
また、気候の変動(台風や低気圧の接近、気温変化)などの外的環境要因、さらには、感冒などの感染症への罹患や激しい運動、睡眠不足、精神的ストレスなど、さまざまな要因によっても症状は悪化します。
疼痛だけでなく関節リウマチに類似した朝のこわばり感もみられます。
一方、線維筋痛症では多彩な身体・神経・精神症状をきたすことが知られています。
疲労感や全身倦怠感、頭重感・頭痛(片頭痛、筋緊張性頭痛)、しびれ感、睡眠障害、不安感、抑うつ感などが高頻度に認められ、乾燥症状(ドライアイ、ドライマウス)や過敏性腸症候群に類似した腹部症状・便通異常、動悸、めまい感、焦燥感や集中力低下、体のほてり感や冷感、微熱、むずむず脚症状などもきたすことがあります。
線維筋痛症は基礎疾患のない一次性(原発性)と基礎疾患のある二次性(続発性)に分類されますが、一次性が多数を占めています。
3 線維筋痛症の検査・診断方法
線維筋痛症の診断には、米国リウマチ学会(ACR)の「線維筋痛症分類基準」(1990年)や「線維筋痛症診断予備基準」(2010年)が用いられます。線維筋痛症の主症状が全身性の慢性疼痛であることから、以下の項目を満たすかどうかを確認することが重要です。
① 広範囲にわたる疼痛(疼痛の広がり)があること
② 触診の際に圧痛点(押すと痛みを感じる場所)が基準の18カ所のうち11カ所以上認められること
③ 3カ月以上継続する慢性疼痛であること

血液検査や画像検査によって特異的な異常所見が認められることはなく、線維筋痛症の診断には有用ではありません。これらの検査は他の病気との鑑別のために行なわれます。
4 線維筋痛症の治療法
原因が不明の病気であることから、根治のための特異的な治療法はなく、薬物療法や運動療法が推奨されています。
線維筋痛症の重症度(ステージ)分類試案
