変形性股関節症の症状が消える理由
「変形性股関節症」 は、子供の頃の関節形成不全や発育障害の後遺症、また加齢による関節の変性よって生じる痛みと機能障害とされ、レントゲン撮影等で軟骨等の些細な変化を見出すと安易に変形性股関節症と診断されることが多いようです。
しかし、軟骨には痛みを感じるセンサー自体が存在しません。軟骨が原因で痛みが生じるとする理論自体が大いに疑問ですし、軟骨が擦り減り骨が露出するような障害に至れば激痛のために到底歩くことすらできないでしょう。実際には、股関節症のほとんどは、股関節自体の障害ではなく、主に下半身の筋肉に生じたトリガーポイント(押圧すると鋭く痛む「しこり」)が起こす筋筋膜性疼痛であり、この場合には、これらのトリガーポイントを解消することによって、股関節や鼠径部の痛みを効果的に改善することが可能です。
まずは、ご自身の症状や痛み・しびれの部位に似たものはないか、押圧すると鋭く痛む「しこり」はないか確認してみて下さい。
変形性股関節症の症状を起こすトリガーポイント
股関節に痛みを起こすトリガーポイント
凡例 ×:トリガーポイントの位置 赤色:関連痛・しびれの部位
『Myofascial Pain Dysfunction The Trigger Point Manual』
トリガーポイントは、押圧すると鋭い痛みを感じる小さな
「しこり」であり、赤色の範囲に痛みやしびれを起こします。
<腰方形筋>
・ めまいがするほどの激痛、過敏性
・ トリガーポイント№2は、大転子と大腿上部
外側に痛起し、大転子は圧迫過敏となり
患部を下にして寝るのが辛い
・ 咳やくしゃみで短く激しい痛み
・ 休息時に持続的で深い疼くような痛み
・ 時に、動くと刺すような痛み
・ 片側の骨盤を引き上げ、腰椎前弯過多、
短脚
・ 直立姿勢での体重負荷が耐え難い
(重症では四つん這いになる)
・ 前方への屈曲が困難
・ 階段を降りる時の痛み
・ ふくらはぎの痙攣、下腿、足裏の
灼熱感・しびれ
・ ぎっくり腰の主因
<梨状筋>
・ ほとんどの臀部痛に関連、特に女性に多い
(女性は男性の6倍)
股関節の後面に痛みを起こす
・ 女性の性機能障害及び性交不快症、
男性のED
・ 座位からの立ち上がり、立位で痛み
・ 時に、尾骨痛
・ 下肢が太くなり、下肢の腫脹を訴える
・ 脚を組みまたは内旋が困難
・ 梨状筋症候群の誤診の原因
<小殿筋>
・ 痛みは非常に激しく、持続し、
しばしば痺れを伴う
・ 跛行の原因となる股関節の痛み
・ 患部を下にして横臥すると痛みが
増し寝返りが辛い
・ 座位より立位で強い痛み
・ 座位で脚を組めない(内転制限)
・ 座位から立ち上がるのが困難
・ 座骨神経痛の誤診の主因
・ 誤診により手術に至るケースが多い
<大腿筋膜張筋>
・ 股関節部及び大腿前外側面に痛みを起こし、
時に膝まで痛みを送る
股関節の後部、座骨の外側部と大転子の間に
深部痛を起こすことがある
・ 股関節を深く屈曲して長時間の座れない
・ 痛みのために早足困難
・ 患側を下に寝ると痛む
・ 健側を下に寝ても膝の間に何かを挟まない痛む
・ 立位でやや股関節と膝の両方を屈曲させる
・ 腰部に過度の前弯、短脚
・ 後ろに反り返るのが困難
<外側広筋>
・ 罹患部位によって多様な
しつこい痛み
股関節の痛みとともに膝の
症状を起こすことが多い
・ 歩行時や患側を下にして寝る
と痛む
・ 膝蓋骨を外側に引き、膝蓋骨
の運動を制限する
・ 時に、膝蓋骨が完全に固着
し、膝が僅かに曲がった状態で
ロックする
鼠径部に痛みを起こすトリガーポイント
凡例 ×:トリガーポイントの位置 赤色:関連痛・しびれの部位
『Myofascial Pain Dysfunction The Trigger Point Manual』
トリガーポイントは、押圧すると鋭い痛みを感じる小さな
「しこり」であり、赤色の範囲に痛みやしびれを起こします。
<恥骨筋>
・ 鋭い痛みや深部痛を伴い、多くの場合、股関節
自体に原因があると誤解される
・ 単独で障害を受けることは少なく、腸腰筋や
他の内転筋と関連
<大内転筋>
・ 痛みとこわばり感を鼠径部、大腿内側、
膝近くまで起こす
トリガーポイントを押圧すると激痛が生じる
・ 骨盤の深部痛が広く拡散
・ 時に、恥骨、腟、直腸、前立腺、膀脱に
局所的な鋭い痛み
・ 活性化すると夜間どのような姿勢でも
痛みを緩和できない
・ 股関節を外転した位置での屈曲を制限
・ 女性の性交中の骨盤内部の痛み
・ 骨盤内の痛みは、内科系の誤診の原因
<長短内転筋>
・ 安静時よりも活動時に鼠径部下、大腿全面に
激しい痛みを起こす
・ 股関節の深部の痛み、こわばり感、すべての
方向の大腿の動きを制限
<腰方形筋>
・ トリガーポイント№1は、腸骨稜付近、前下腹
部、鼠径部に痛みを起こす
・ めまいがするほどの激痛、過敏性
・ 咳やくしゃみで短く激しい痛み
・ 休息時に持続的で深い疼くような痛み
・ 時に、動くと刺すような痛み
・ 片側の骨盤を引き上げ、腰椎前弯過多、
短脚
・ 直立姿勢での体重負荷が耐え難い
(重症では四つん這いになる)
・ 前方への屈曲が困難
・ 階段を降りる時の痛み
・ ふくらはぎの痙攣、下腿、足裏の
灼熱感・しびれ
・ ぎっくり腰の主因
<腹斜筋>
・ 鼠径部から睾丸にかけて痛みを起こす
・ 腹斜筋の関連痛パターンは一貫性に乏しい
・ 時に、片側に起きた痛みが両側に拡がる
・ 原因不明の灼熱感、膨満感、不快感、吐き気
<腸腰筋>
・ 腰痛の主因
・ 下部のトリガーポイントは、鼠径部、大腿前面に
痛みを起こす
・ 起立時に痛みが増大、横臥時に軽く
しつこい痛み
・ 活性化すると起き上がり腹筋運動が不可能
・ 時に、椅子に深く座った状態からの立ち
上がりに困難
・ 朝、股関節か鼠径部にこわばり感や腰痛が
あり真っ直ぐ立てない
・ 活性化すると、時に、排便時の痛み
・ 代表的な体幹筋であり、全身的な症状の
根本原因にあることが多い