顎関節症が治る理由
顎関節症は原因不明とされることが多いのですが、以下に示すように外側翼突筋等の咀嚼筋に生じたトリガーポイント(押圧すると鋭く痛む「しこり」)は明らかに顎関節症の症状を起こしますし、実際にはほとんどの顎関節症は外側翼突筋等のトリガーポイント・セラピーによって改善することができます。
さらに、顎関節症に影響する噛みしめや歯ぎしりも、トリガーポイントによる咬筋や内側翼突筋の緊張が原因であることが極めて多く、これらもトリガーポイント・セラピーによって改善することができます。
また、トリガーポイントを取り除き筋肉を整えることによって、舌が痛み、嚥下困難、耳の痛みやつまり感などの関連の症状も改善されていくものです。
更にご注意頂きたいのは、顎関節症を作り出す外側翼突筋等は身体の深部を走る筋膜ラインに属しており、これらの緊張は頭蓋骨・脊柱・仙骨・骨盤底等を通じて周辺の筋筋膜や内臓に影響を及ぼし、肩こり・頭痛・腰痛・不定愁訴等の根本原因になることが多いということです。顎関節症の治療によって、頸や肩の症状は勿論のこと、腰痛や下半身の症状が改善することも少なくありません。
長年、顎関節症とともに全身の様々な症状に悩まされている方は、是非ともトリガーポイント・セラピーによって顎関節症の治療とともに全身的な症状の改善をお試し下さい。
まずは、次のイラストから、ご自身の症状や痛み・しびれの部位に似たものはないか、押圧すると鋭く痛む「しこり」はないか確認してみて下さい。
顎関節症を起こすトリガーポイント
凡例 ×:トリガーポイントの位置 赤色:関連痛・しびれの部位
『Myofascial Pain Dysfunction The Trigger Point Manual』
トリガーポイントは、押圧すると鋭い痛みを感じる小さな
「しこり」であり、赤色の範囲に痛みやしびれを起こします。

<外側翼突筋>
・ 顎関節の深部の痛み、耳鳴り
・ 鼻の分泌異常
・ 顎関節症、副鼻腔炎の誤診の主因
・ 顎関節の脱臼、亜脱臼、轢音
・ 不正咬合・咬合不調和

<咬筋>
・ 咀嚼筋の中で最もトリガーポイントが
発生しやすい
・ 歯や歯茎に痛みを放散し、口を開け難い
・ 時に、顎関節症の痛み、知覚過敏、耳の
奥の痛み、耳の閉感、耳鳴り、耳の内部の
ひどい痒み
・ 噛みしめ、歯ぎしりの原因
・ 副鼻腔炎の誤診の原因

<内側翼突筋>
・ 口腔(舌・咽頭)・耳の深部・顎関節の
痛み、耳の閉塞感
・ 噛む・歯を食いしばる時に増強
(歯には放散しない)
・ 口の裏側や硬口蓋・舌に痛み、嚥下困難
・ 口を大きく開けるのが難しい
・ 噛みしめ、歯ぎしりの原因
治療上の留意事項
〇 顎関節症を起こす外側翼突筋・内側翼突筋・咬筋の緊張等は心身のストレスを生み出しますから、ストレスを気にする前にまずはこれらの諸筋の手当てを優先して頂く方が良いでしょう。
〇 歯顎関節症で悩んでおられる方の中には、同時に肩こり・頭痛・腰痛・不定愁訴等の全身的な症状でお困りの方も少なくありません。
顎関節症を作り出す外側翼突筋等の筋肉は、身体の深部を走る筋膜ラインに属しており、これらの緊張は頭蓋骨・脊柱・仙骨・骨盤底等を通じて周辺の筋筋膜や内臓に影響を及ぼし、肩こり・頭痛・腰痛・不定愁訴等の根本原因になることが多いのです。
また、その逆に、全身性の根深い症状が深部の筋膜ラインを通じて外側翼突筋等を緊張させ、顎関節症等を起こさせていることも多く、その意味からは顎関節症は「全身の悲鳴!」であると言っても決して過言ではありません。
全身的に不調のある方は、顎関節症がその根底にあるかも知れませんので、是非とも治療に心掛けて下さい。
〇 一部に外側翼突筋等のマッサージを施す治療院等もありますが、口腔内の諸筋は過敏になりやすくマッサージによってほぐすのは施術者に余程の技術がない限りお勧めしません。
当院の「ファシア・トータル・リリース」は、外側翼突筋等の罹患部位に軽く触接しながら、これと連鎖を形成している首等の複数点を同時に柔らかく刺激することによって連鎖を解消し、トリガーポイントを自然に弛めて症状を改善することができます。
また、その過程では、症状の形成過程を解明し全身的な健康状態を把握することができますので、全身的な影響のある顎関節症には最適の治療法と言えます。