むち打ち症が治る理由

「むち打ち症」 は、追突や衝突などの交通事故によって首がむちのようにしなったために起こった頚部外傷の局所症状の総称であって、医学的な傷病名ではありません。
まずは、外傷性頚部症候群(頚椎捻挫・頚部挫傷)、神経根症(頚椎椎間板ヘルニア・頚椎症性神経根症)、脊髄損傷などについて医師の専門的診断を受けることが大切です。
しかし、実際には頸部挫傷等の頸椎の損傷に至ることは少なく、むち打ち症の主な原因は、衝撃によって前頸部の胸鎖乳突筋や斜角筋に生じたトリガーポイント(押圧すると鋭く痛む「しこり」)が起こす筋筋膜性疼痛であり、多かれ少なかれ他の頸部や胸部の筋肉が影響しています。
そして、胸鎖乳突筋等はめまい・吐き気・顔面の痛み・握力低下など、あたかも頸椎の神経が損傷を受けたのではないかと不安にさせる症状を伴うのです。
これらの場合には、関連するトリガーポイントを解消することによって、症状を改善することができます。
むち打ち症と診断され、医学的な治療を受けても症状が改善しない方、諦めないでください。
一度は、筋肉が起こす痛み(筋筋膜性疼痛)を確認してみることが大切です。
まずは、次のイラストから、ご自身の症状や痛み・しびれの部位に似たものはないか、押圧すると鋭く痛む「しこり」はないか確認してみて下さい。

むち打ち症を起こすトリガーポイント

            凡例  ×:トリガーポイントの位置  赤色:関連痛・しびれの部位
                『Myofascial Pain Dysfunction The Trigger Point Manual』
                トリガーポイントは、押圧すると鋭い痛みを感じる小さな
                「しこり」であり、赤色の範囲に痛みやしびれを起こします。

胸鎖乳突筋が起こす痛み・しびれ

<胸鎖乳突筋>
・ 色覚障害、かすみ目等の目の症状
・ 耳鳴りを伴わない難聴、耳の閉塞感
・ 体位変化時のめまい
・ 空間的平衡間隔の乱れ
・ 胃の不調、吐き気、食欲不振
・ 顔面の神経痛、緊張性頭痛の誤診
 の原因

斜角筋が起こす痛み・しびれ

<斜角筋>
・ 上半身の広範囲の痛みや痺れ等の
 異常な感覚の根本原因
・ 手の感覚異常(腕や手の痛み、
 腫れ、痺れ、チクチクした痛み、
 灼熱感)、物を落とす、握力低下
・ 精神的な緊張
・ 朝起きたときの手背部(特に4指)
 の浮腫、こわばり
・ 肩関節と指関節の痛みはリウマチの
 誤診の原因

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