以下では、残念ながら改善に至らなかった施術事例をご紹介させていただきます。
■症例5-1
■症例5-2
■症例5-3

5-1:施術後の強い反応

50歳代 女性 主婦 症状:数年前、右の首と肩周辺に生じた痛みが広がりつつあり、整形外科に通院していた。 原因:右上半身のほとんどの筋肉にトリガーポイントが生じており、全身的な波及が見られた。また腹部が極めて硬く、全身性疼痛の中心となっていると推測された。 施術:初回の施術で痛みは軽減したが、その後数日間にわたって全身的に痛みとだるさが生じた。患者さん自身が、更に悪化することを懸念して整形外科への通院を続けることとし、トリガーポイント・セラピーによる継続的な治療を断念した。 要点:トリガーポイント・セラピーは強く押すことさえもない安全安心な施術法ですが、施術後1~2日までの間、約40%の方に一時的に痛みが増し、あるいは身体がだるくなることがあります。これは自己治癒力が働き本来の機能が回復する過程における自然現象(揉み返しとは異なります。)であり、3日目以降、また3回目以降の治療ではこのような症状はほとんど生じません。
この患者さんの場合には、特にこの反応が強く、不安感から治療継続を断念されてしまいました。腹部の緊張の強い方には、施術後の反応が生じることが比較的多いようです。
また、施術後の反応が比較的強い方の中には、数回の施術後に劇的に改善されることも少なくありません。先にトリガーポイント・セラピーで腰痛を改善して多くの知人をご紹介頂いご主人とともに何度も説明し、勇気をだして後2回試して頂くように説得しましたが、きっと自分には合わないのだと受け入れて頂けませんでした。今にしても、残念でならない症例でした。

5-2:手術跡のために治療ができない。

30歳代 男性 症状:数年前から、背骨の脇の痛みに始まり、臀部から脚にかけて痛みとしびれが生じた。整形外科に受診すると脊柱管狭窄症と診断され、ジュラルミンの板を埋め込んで脊柱を固定する手術を受けたが症状が悪化して来院。 原因:原因は2つ。一つは、臀部の筋のに生じたトリガーポイントが、臀部から脚にかけて痛みとしびれを起こしていた。もう一つは、背骨を固定している深部の筋肉が、背骨の脇に痛み起こしていた。 施術:5回の施術で臀部から脚にかけての痛みとしびれは改善したが、背骨脇の痛みは改善できなかった。 要点:他の症状は全て解消したのですが、背骨を固定している深部の筋肉は、手術で埋め込んだジュラルミンの板の下に隠れており全く手が届きませんでした。手術前に来院されていたら全て改善できたと思うと、悔しくてならない症例でした。
金沢で慢性痛患者の治療に多大の成果を挙げ『トリガーポイントブロックで腰痛は治る。』等の著者でもある加茂整形外科医院院長の加茂淳博士の言葉をご紹介します。
「椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄が痛みやしびれの原因となることはありません。痛みやしびれは神経症状ではありません。」
私どもも、これまでに多くの椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄の患者さんの施術をしてきましたが、これらが原因で腰痛や下半身痛等を起こしている患者さんに唯の一人もお会いしたことがありません。痛みやしびれの原因のほとんどは、トリガーポイントにあります。簡単なことです、手術の前に必ずトリガーポイントを確認してみて下さい。

5-3:過緊張

70歳代 男性 症状:20年前からの腰痛 原因:腹部の奥にある腸腰筋のトリガーポイントによる関連痛 施術:5回施術するも効果を得ることができず治療を断念 要点:年齢とともに筋肉が硬くなり、緊張が解けづらい傾向にあります。また、この患者さんは常に背筋を真直ぐに伸ばされ意思の強さが伺える紳士でしたが、それが却って施術中の身体の硬さとなって現れていました。
トリガーポイント・セラピーの効果を得るには、リラックスして力を抜いて頂くこと、そして痛み生じない範囲内でゆっくり変化を待つ必要があるのですが、施術中には一切痛みを口にされることがなく、最後の施術を終えた後に「痛かったね。」と言われた時には、患者さんを良く見ていなかったと、治療家としての未熟さを痛感させられました。
トリガーポイント・セラピーではリラックスマッサージは一切行いませんが、患者さんにリラックスして頂くことは何より大切な基本ですから、安心してリラックスして頂けるように今後とも努力を積み重ねたいと思います。