目次

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1 トリガーポイントの概要
2 トリガーポイントと関連痛
3 トリガーポイントの発生と悪循環
4 トリガーポイントと多様な症状と誤診
5 トリガーポイントの連鎖と慢性痛

1 トリガーポイントの概要

【図】トリガーポイント慢性的に痛みがある方は、身体を押すと響くような痛みが生じる小さな「しこり」があるの気付いておられるのではないでしょうか。
簡単に言うとその「しこり」がトリガーポイントです。
その「しこり」が引き金となって、身体の様々な部位に痛みを起こすことから、トリガー(引き金)ポイントと呼ばれています。
また、トリガーポイントが生じると、その筋肉を緊張させることによって可動範囲を制限し、力を発揮できないようになります。
例えば、四十肩の方は痛みと共に肩の動きが制限されますが、それは筋肉に生じたトリガーポイントが強く収縮して筋肉の動き自体を制限しているのです。そして、一つの筋肉が緊張することに端を発して、これに関係する周辺の筋肉を次々に緊張させ、固着してしまった状態が四十肩の本質です。
このトリガーポイントは理論上の話ではなく、筋電図、超音波画像、サーモグラフ等によって実際的かつ客観的に証明されています。
そして、近年は治療法も飛躍的な発達を遂げ、慢性痛の治療に極めて優れた効果を発揮しており「ためしてガッテン」等のメディアでも取り上げられています。
トリガーポイント-サーモ画像

2 トリガーポイントと関連痛

トリガーポイントの関連痛トリガーポイントの最大の特徴は、かなり予測が可能なパターンで身体の各部に「関連痛」と言われる痛みを起こすことです。
内臓の障害が皮膚等に関連痛を起こすのと同様に、神経伝達経路の錯誤によるものと推察されています。
そして、トリガーポイントによる関連痛のパターンは、トラベル博士(※)を中心とする有能な専門家達の知見と膨大な臨床データに基づいてその全容が明らかにされています。
詳しくは「改善できる症状」をご覧下さい。皆さんの痛みと原因となるトリガーポイントをまとめています。

※トラベル博士:米国のケネディ大統領とジョンソン大統領の主治医を勤めた。1983年にトラベル博士が中心となって、身体的には、「筋筋膜性等痛症候群(トリガーポイント)」による「筋痛」が痛みの95%を占め、残りの5%は「骨折」「ガン」などによる痛みであることを膨大な臨床データに基づき解明している。

3 トリガーポイントの発生と悪循環

筋肉は繊細な筋繊維の集合体であり、外傷や過度の負担等によって容易に微小な損傷が生じます。
筋繊維の損傷が起きると交感神経が優位となり、血管が収縮し血流が減少、老廃物が蓄積されるとともにエネルギー源であるATPが不足、ブラジキニン等の発痛物質を作り出し、筋肉が拘縮します。
筋肉の拘縮は、通常は数日の内に消えますが、強いストレスに長時間晒されるなどによって、上記の悪循環が進行しトリガーポイントが形成されます。

トリガーポイントの発生と悪循環

4 トリガーポイントと多様な症状と誤診

トリガーポイントは、関連痛を起こすと同時に身体の至るところに影響を及ぼし、頭痛やめまいなどの他、多様な症状を呈します。
その結果、座骨神経痛などと誤診されることも多いのです。
詳しくは、「改善できる症状」をご覧ください。

5 トリガーポイントの連鎖と慢性痛

トリガーポイントの連鎖

トリガーポイントを放置しておくと、関連痛域を緊張させることによって当該部位に新たなトリガーポイントを生じさせ、筋から筋へと緊張が連鎖する結果、慢性痛を複雑かつ長引かせることになります。
慢性痛の治療には、この連鎖を突きとめて、早い時期にキーとなるトリガーポイントを 取り除くことが決定的に重要です。
下の図は、腹部の筋肉に生じたトリガーポイントが腰痛を起こし、それが腰部続いて臀部へと連鎖的にトリガーポイントを誘発し、脚の痺れや痛みを起こす様子を示しています。結果として、腹部の筋肉に生じたトリガーポイントが起点となって座骨神経痛の症状を起こし、誤診を招いてしまうことにもなります。