手首の痛みが治る理由
手首の痛みは、手首を通る神経の圧迫、手首の疲労、捻挫、亜脱臼、骨折な治るどが原因とされることが多いようですが、骨折や捻挫などの明確な外的障害がある場合を除いて、腕や手の筋肉に生じたトリガーポイント(押圧すると鋭く痛む「しこり」)が起こす筋筋膜性疼痛です。
神経の圧迫によって痛みやしびれが生じることはありませんし、捻挫等の場合であっても1週間以上経過して炎症期間を過ぎても症状が継続する場合には、トリガーポイントによる痛みを併発していると考えることができます。
これらの症状は、関連するトリガーポイントを特定し解消することによって速やかに改善することができます。
治療は比較的簡単ですが、症状が重かったり、腕や手に広範囲に痛みやしびれを生じるような場合には、トリガーポイントが根深くなり連鎖して広がっている可能性があり根本的に治療するのが賢明です。
まずは、次のイラストから、ご自身の症状や痛み・しびれの部位に似たものはないか、押圧すると鋭く痛む「しこり」はないか確認してみて下さい。
手首の痛みを起こすトリガーポイント
凡例 ×:トリガーポイントの位置 赤色:関連痛・しびれの部位
『Myofascial Pain Dysfunction The Trigger Point Manual』
トリガーポイントは、押圧すると鋭い痛みを感じる小さな
「しこり」であり、赤色の範囲に痛みやしびれを起こします。
<肩甲下筋>
・ 肩甲骨周囲の痛みの主因
・ 掌を床についた時に手首背面の痛み
・ 手首周囲(特に手背面)のひりひり
した痛み
・ 休息時、運動時ともに激しい痛み
・ 投球動作のように腕を後ろに引け
ない
・ 40肩の根本原因となることが多い
<手根伸筋>
・ 手首背面の痛みの主因
・ テニス肘(外側上顆痛)の原因の一つ
・ 前腕の張り、灼熱感、疼き
・ 時として手に痺れと疼き
<手根屈筋>
・ 手首掌側の痛みの主因
・ 時に、握力低下、薬指と小指に灼熱感
または痺れ
<腕橈骨筋>
・ 肘と親指の根部の痛みが卓越
・ テニス肘(外側上顆痛)の主因の一つ
<回内筋>
・ 手首親指側の痛み
・ 時に、手のしびれ
<母指内転筋・母指対立筋>
・ 親指の付け根や指にかけて、ずきずきする痛み
・ 母指と指先間に力が入らない、握力の低下
・ バネ指に関連
・ 親指の動きが悪く、悪筆となる
・ 指先を使う細かい仕事が困難
<上後鋸筋>
・ 肩甲骨下の深部の痛み
・ 腕から手首(小指側)の痛みとともに
時に手の痺れ
・ 安静時でも痛み、動作によって痛みは
変化しない
・ 時に、側弯症を起こす
<小胸筋>
・ 三角筋前部に非常に強い痛み
・ 時に、胸上部、上腕尺側、肘部、
前腕、手首、掌、3~5指に痛みと
しびれ
・ 胸郭出口症候群の誤診の原因
・ 猫背を引き起こし、中背部に疼痛