鼠蹊部の痛みが治る理由
整形外科に受診しても原因が明らかではない鼠蹊部の痛みにお悩みの方が多くおられますが、そのほとんどは、股関節や下腹部の問題ではなく、主に下半身の筋肉に生じたトリガーポイント(押圧すると鋭く痛む「しこり」)が起こす筋筋膜性疼痛です。
これらのトリガーポイントを解消することによって、鼠蹊部の痛みを効果的に改善することが可能です。
まずは、次のイラストから、ご自身の症状や痛み・しびれの部位に似たものはないか、押圧すると鋭く痛む「しこり」はないか確認してみて下さい。
鼠蹊部の痛みを起こすトリガーポイント
凡例 ×:トリガーポイントの位置 赤色:関連痛・しびれの部位
『Myofascial Pain Dysfunction The Trigger Point Manual』
トリガーポイントは、押圧すると鋭い痛みを感じる小さな
「しこり」であり、赤色の範囲に痛みやしびれを起こします。
<恥骨筋>
・ 鋭い痛みや深部痛を伴い、多くの場合、股関節
自体に原因があると誤解される
・ 単独で障害を受けることは少なく、腸腰筋や
他の内転筋と関連
<大内転筋>
・ 鼠径部、大腿内側、膝まで伸びる痛み
・ トリガーポイントを押圧すると激痛
・ 骨盤の深部痛が広く拡散
・ 時に、恥骨、腟、直腸、前立腺、膀脱に
局所的な鋭い痛み
・ 活性化すると夜間どのような姿勢でも
痛みを緩和できない
・ 股関節を外転した位置での屈曲を制限
・ 女性の性交中の骨盤内部の痛み
・ 骨盤内の痛みは、内科系の誤診の原因
<長短内転筋>
・ 安静時よりも活動時に鼠径部下、大腿前内側に
激しい痛み
・ 股関節の深部の痛み、こわばり感、大腿の動き
を制限
<腰方形筋>
・ トリガーポイント№1は、腸骨稜付近、前下腹
部、鼠径部に痛みを起こす
・ めまいがするほどの激痛
・ くしゃみで短く激しい痛み
・ 休息時に持続的で深い疼くような痛み
・ 時に、動くと刺すような痛み
・ 片側の骨盤を引き上げ、腰椎前弯過多、
短脚
・ 直立姿勢での体重負荷が耐え難い
(重症では四つん這いになる)
・ 前方への屈曲が困難
・ 階段を降りる時の痛み
・ ふくらはぎの痙攣、下腿、足裏の
灼熱感・しびれ
・ ぎっくり腰の主因
<腸腰筋>
・ 腰痛の主因
・ 下部のトリガーポイントは、鼠径部、大腿前面に
痛みを起こす
・ 起立時に痛みが増大、横臥時に軽く
しつこい痛み
・ 活性化すると起き上がり腹筋運動が不可能
・ 時に、椅子に深く座った状態からの立ち
上がりに困難
・ 朝、股関節か鼠径部にこわばり感や腰痛が
あり真っ直ぐ立てない
・ 活性化すると、時に、排便時の痛み
・ 代表的な体幹筋であり、全身的な症状の
根本原因にあることが多い